住み慣れたまちで

自分らしく暮らしていくための

地域支え合い研修会

 

 日本は諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行し、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。

そのような中、改正介護保険制度では、できるだけ最後まで住み慣れたまち(自宅)で安心して暮らせるよう、地域全体で暮らしを支え合う「地域包括ケアシステム」というしくみづくりが、各市町村に求められています。

この研修会は、町内の福祉、保健、地域活動の関係者を対象に、地域支え合い「互助」のあり方を一緒に考え、先ずは一歩踏み出していただくために開催します。

 

   平成28()

       午後1時半~3時半(受付:午後1時~)

ところ 白石町役場3階 大会議室

 容  お話し「介護保険制度改正による生活支援の体制づくりとは」

             ワークショップ「あなたなりの支え合いのイメージは?」

 

       公益財団法人さわやか福祉財団

さわやかインストラクター  阿 部 かおり 氏

〃           竹 下 順一朗 氏

 

参加費  無 料

参加申込 29日()までに下記へお申し込みください。

 お問い合わせ・お申し込み先 

主催 白石町社会福祉協議会 

TEL 0954-65-8960 

FAX 0954-65-3226

後援 白石町長寿社会課・地域包括支援センター

住み慣れたまちで安心して暮らしていくための

 

地域支え合い講演会

ご聴講いただき、誠にありがとうございました!

人口減少と少子高齢化が進む一方で、地域共同体の機能が低下し、人間関係も希薄になっています。そのような中、今年4月から改正される介護保険制度では、できるだけ最後まで住み慣れたまち(自宅)で安心して暮らせるよう、地域全体で暮らしを支え合う「地域包括ケアシステム」というしくみづくりが、各市区町村に求められています。

 今回の講演会は、町内の福祉、保健、地域活動の関係者のみならず広く町民の皆様を対象に、これからの地域支え合い「互助」のあり方を一緒に考えていただくために開催しました。参加者は総勢60名。中村教授の気迫のこもったお話しを、最後まで熱心にご聴講いただき、誠にありがとうございました。

と き 平成27年14()

      受付:午前9時半~

     午前10時~11時45分

 

ところ 白石町交流館

    九州大谷短期大学 福祉学科教授

        中村秀一

【講師プロフィール】

  昭和35年生まれ。昭和60年4月〜平成1312月、福岡県社会福祉協議会に勤務。

  平成14年4月〜平成16年3月、鹿児島国際大学大学院 福祉社会学研究科社会福祉

  専攻修了。

  平成16年4月〜、九州大谷短期大学福祉学科 専任講師、准教授を経て、現在 教授。

  アウトドアサークル顧問(今年創設10 周年)

【主な著書及び研究論文】

『新社会福祉・社会保障』(共著)学文社、2011

『女性民生委員・児童委員の歴史的役割と特性』九州大谷研究紀要、2006

『民生委員制度の精神性と児童委員制度との関係的課題』九州大谷研究紀要、2005

中村秀一氏の講演内容(抄録)

◆「優秀な人」をつくりたい

   僕は大学で何をしたいかと言うと、人をつくりたいんです。学校というのは人をつくるとこなんですよね。

   この白石町でも子供さん、若い世代の人まだたくさんいますよね。でも、若い人は自分のことで精いっぱいです。「じゃ、地域つくるの誰?」「いやあ、長年住んどる年寄りっさい」と、それでいいんですかっていう話なんです。「私、一生懸命頑張って働いてきたよ。さあ次は支えてもらう番よ」って後ろ振り返ったら、「あちゃ、誰も支える者がおらんやんか」と。だからこそ、人をつくるんです。

   じゃあ、人の何をつくるかと言うと、人の精神をつくるしかないんですね。お互いが支援できる精神を持った人間が必要なんです。

   だから、僕は四月入学したばかりの学生に必ず言うんです。「優秀な人間に育ってください。優秀な人間として卒業してください」と。優秀というのは、一般に言われる成績がいいということだけではございません。優秀というのはこう書きますよね。

「優しさ」「秀でる」

そう優しさが秀でるんです。人の気持ちがわかり、人のために自分ができることは何なんだと考え、そして行動できる人ですよ。


◆「大変さ」が人をつくる

   でも、「優秀な人」は、授業だけやってできないんです。だから僕はサークルをやってるんです。今はアウトドアサークルだけですが、十年続くこのサークルを通して人づくりをせんといかんと思っています。

   このサークル「キャンプや旅行いっぱい連れて行くばい。おいしいものもめちゃくちゃ食べらるっぞ」って餌をぶら下げると、どっと学生が寄ってきます。でも学生が行ける金額でやらないといけない。そのきっかけで、僕が大型免許を取り、レンタカー屋さんのご厚意ですごく安い値段でバスを借りる。春、夏、秋、冬ってずっとどっか行くんです。春なんかは有田陶器市。これ二時間もあったら行けるのに、わざわざ一泊で行くんです。費用は一泊二,二〇〇円ですよ。安いでしょ。宿泊は簡単、金立サービスエリアに止めたバスの中。トイレはあるし、二十四時間あいてるし、警察は何かあったら来てくれるし、うち学生は女の子も多いし、これが一番いいんです。

   彼らはじゃあここでバスの中で寝るかって、寝ません。大体一晩中起きてます。実は、バスという一つの空間の中に押し込められとったら、必ず私があなたに、あなたが私に与える影響、すなわち、相互作用が起こるんですね。四月入ってきてまだすぐでしょ。「今日は天気良かね」って単に会話だったのが、対話に変わるんです。自分のおなかの中が出てくんですよ、価値観が。お互い同じだったり違ったりの価値観と価値観の話し合いが実は対話ですよ。

   だから、この活動を通して、実は人間が人間と一緒にいるということの意味と、そして相手の価値がどういう価値であれ、共有とまでもいかなくても、これを認められる自分にならなくちゃいけないっていうことなんですね。対人支援者ってそうなんですよ。同じ価値の人だけ仲よくしようて、じゃ、あの人価値違うけん排除しようて言うたら、これいじめに変わっていく。

 また、こういうことをずっと始めて、夜中に学生から電話がかかってくることが多くなりました。自分の悩みだとか考え方でつまずいたことなどもずっと話してくれます。時々「先生、死んでよかね」って電話があります。だから、関われば関わるほど僕は大変なんですよ。

 じゃ、僕大変な思いして学生楽しとったらいいんですか。違うんです。信頼関係をつくっていく中で、学生たちは楽だけじゃいかんのよねっていうことに気づき始めるんです。そこで後輩指導とかいろんなことしなさいって言って考えさせていくんです。一年後、サークルのほとんどの学生に、「おまえ何しよっとかやん、ばかたんが」って言えるぐらいの人間関係ができます。一生懸命やったら充足感です。満足感です。大学二年間の充実感ですよ。ああ、いい二年間やったなと卒業していくんです。社会に出ても充実するためには自分が楽したらいかんとよねっていうことを知った上で社会に出ていかせる。これが今日の本当の伝えたい「大変」ていうことなんです。


◆足らない!人を敬う精神性

 高齢者は一般的特徴として喪失の時期と言われます。先ず健康が喪失されます。いろんなところにがたがきますよね。次は経済的基盤。第一線から退いて収入が減って、あとは年金だけの暮らしとか。さらには社会的なつながりです。定年退職して家にいる。なかなか家から出ようとしない。まさに隠居状態です。それは男性に多いって言われ、ひきこもりになっていく。さらには生きる目的まで失ってしまう。これが一番怖いですね。

 やがては要介護、認知症、或いは孤立死。そして自殺も多いですよね。またエイジズムという年齢差別も多い。例えば、何々臭とか言うじゃないですか。失礼な話ですね。自分の年齢よりも上とか、衰えのある人に対して、そういう感覚でものを言ってくる。これはさせてはならないんです。何が足らないか。人を敬う、高齢者を敬う精神性です。

◆福祉は全て行政の責任?

 我々は、生活していく上で、いろんな問題の中に生きてますよね。問題が小さかったら自分で解決できるんです。これを自助と言います。でも、中くらいになっていくと、自分一人で解決できんので、友達とかに相談しますよね。友達は互助の存在でしょ。本当に話しますか。本当に友達いますか。今、人と人との関係性がものすごく薄くなったので、互助は飛び越されることが多いんですね。問題が大きくなったら、公助って言われる社会福祉・社会保障のサービスに求めるんです。「うちの母ちゃんは老人ホームに入って欲しかばってんが、入られんやんか、施設が足らんとやなかか」とか、いろんなことを行政に対して文句言いますよね。今みんな福祉は全て行政の責任だと思ってるんです。全部公助に行っちゃうんですね。

 しかし、今から先どうなるんですか。施設を増やしてくださるんですか。高齢者まだまだ増えますよ。認知症もめちゃくちゃ増えていきますよ。そしたら皆さん方がお支払いいただく介護保険料上がるんですよ。で、税金も投入しないといけないんですよ。

 

◆きついっていけないんですか?

 介護士というと、世の中で「3K」って呼ばれてるんです。「3K」って、きつい、汚い、危険のことで、おまけに給料安いとか言われますね。

 高校生の若い人材に、さあ介護に、福祉につきませんかって言う一方で、介護はきつかですもんねって大人が言うのよ。だけん、僕は言うんです、きついっていけないんですかって。学生に楽して金もうけしろなんか教育現場で言えるわけないでしょうて。どんな仕事だってきついでしょう。皆さん方がされてきた仕事、ここまで楽勝で来ましたか。介護の仕事は「3K」って普段我々の耳に入ってきて、そうかと何の違和感もなく考えている自分自身が既に侵されてる。違うんだということを言える自分でいなければならないんですね、本来は。

 

◆変えるのは自分自身!

 じゃ、誰が変えるんですか。国がそういうふうに政策をすれば、何でもかんでもよかほうに行くとですよって。これ他人事ではならないんです。自分なんです、実は。例えば、キング牧師という人。白人と黒人の差別を撤廃していくアメリカ公民権運動は、一人の人間から始まったんです。一人立つの精神から始まっていくわけですよ。

 だから、地域の中で、この白石町の未来を誰がつくるのかと。町長、あんたばいで終わらせちゃだめなんですね。行政任せではなくて、我々にできることって何やろかて。どういう地域をつくりたいって、そういう一人一人の思いを仲間とともに実現をさせていくという、それがある意味、我々の人生の総仕上げではないかというふうにも思います。

 町づくりも人づくりなんですよ。もちろん自分たちも動かなくちゃいけない。若いやつがおらんなら、今いる人間で結構ですよ。いや、今いる人間じゃ高齢者ばっかりばいて。いいじゃないですか。僕は老々介護、老々支援大いに結構だと思います。自分たちが動き、大変さを若い世代に見せながら教えていく。若い世代がついてくる。それが伝統ですね。

 

◆主体的に愛することから始めよう!

 現代社会の人間は愛される、何かそういうことばっかり考えてませんか。やっぱり、人間は人間を主体的に積極的に愛することから始めたら、すごく返ってくるもんも大きいんだろうと思いますよ。

 僕は、認知症の母の介護を毎日妻と一緒にやってますが、正直申し上げて5年ぐらい前までは大変大変と思っていた。母に冷たい言葉を言ったりしたこともあります。でも、最近はそれはありません。全て母の笑顔を見ようと思ってます。僕は今、母にいつも言います。「百まで生きれ。最後まで面倒見ちゃっぞ」って言うと、「百までは生きろうごんなかね」ちゅうてにこにこ笑ってます。そして、母の体をさすりながら「あしたも元気でおってね」これができる人間になってきました。

 結局、誰からつくられたの。そうです、周りの人です。その上で大変な思いをされた皆様方が、地域の住民のために残りのまだまだ長い人生をぜひとも生かして、そしてそれを全部自分にフィードバックしてください。「いい人生や」と。そして「この町に住んどってよかったな」っていう思いで人生遂げていただきたいというふうに思います。ですから、まだまだ頑張ってください。

 どうもご清聴ありがとうございました。